自分の設計武士道
QUICK REFERENCE 迷ったとき、ここから引く

行動早見表

通読するためのページではない。迷った場面から、必要な行だけを引くためのものである。 各行の右端に、根拠になる章を示してある。

場面から引く

いま起きていること やること 章
決められない、迷いが長い 選択肢を二つに絞り、怖いほうを選ぶ 第2章
やるべきだと分かっているが動けない 十秒以内に最初の一動作をする 第4章
断りにくい頼みを受けている 「確実には約束できません。やるなら何を落としますか」と返す 第7章
数字を都合よく見せろと言われた この数字を根拠に誰かが決めるかを問う 第3章
その場にいない人の評価が下がっている 事実と違う部分だけを一つ訂正する 第3章
自分の誤りにまだ誰も気づいていない その誤りの上に誰かが積み上げるなら、今言う 第3章・第7章
上の判断が明らかに誤っている 場所を選び、事実で言い、代案を出し、決まったら従う 第10章
三回言っても変わらない 去るか、その件から手を引く。基準は先に決めてある 第10章
侮辱されてかっとなった 決めておいた動作を一つ挟む。言い返す前に止める 第8章
公然と誤りを指摘された 内容にだけ返事をし、失礼さには触れない 第8章
相手が明らかに不利な立場にいる 譲らなくてよい。ただし判断に必要な情報は渡す 第5章
相手の失敗を指摘する 一対一で、事実を先に、修復の手順を一緒に置く 第5章・第6章
断るとき 早く/理由を示して/次の道を添える 第5章
助けを求めるのが恥ずかしい 一人で抱えて成らないなら、それは誠を破っている 第8章
遅れそうだ 確定を待たず、気づいた時点で言う 第7章
自分に有利な誤解が生じている その場で訂正する。時間が経つと不自然になる 第7章
型が一日途切れた 翌日、量を半分にして戻す。二度続けて休まない 第9章
誘惑が目の前にある 距離を置く/時刻で切る/代わりを用意する 第9章
やる気が出ない 気分を判断材料にしない。量を減らして実行する 第9章
続けるべきか、やめるべきか やめる条件を始める前に決めていたかを問う 第4章
誰かに「もっとこうあるべきだ」と思った 同じ基準を自分がどこまで満たしているか書く 第13章
「昔からこうだ」と言われた いつからそうなのかを一度確かめる 第13章

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徳目がぶつかったときの順序

法 → 義 → 仁 → 誠 → 礼 → 勇 → 名誉 → 忠義。

ぶつかる組 どうするか 章
義 対 法 法が上。ただし法を変える努力は放棄しない 第3章
義 対 忠 義が上。ただし諫言の作法を守る 第3章・第10章
義 対 仁 義で決め、仁でやり方を選ぶ。基準は曲げない 第3章・第5章
仁 対 忠 仁が上。組織は手段、人は目的 第5章
仁 対 勇 仁があるなら必ず言う。言えないのは怯え 第5章
誠 対 仁 事実は削らず、量と順序を選ぶ 第7章
誠 対 礼 内容は誠、形は礼 第6章・第7章
誠 対 忠 言わない自由はあるが、偽る自由はない 第7章
勇 対 智 何を待つのか言えるなら待ってよい 第4章
勇 対 名誉 引けない理由が「恥」なら、それは勇ではない 第4章・第8章
礼 対 仁 仁が上。相手が苦しくなる礼は失敗している 第6章
克己 対 仁 自分の型は、自分の時間の中で守る 第9章
死生観 対 仁 守る対象がいるなら、生き延びるほうが上 第2章

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持ち込んでよいかを決める五つの問い

問い 見ているもの
①一人称で使っているか 「自分はこうする」か、「お前もこうしろ」か
②相手に逃げ道があるか 断れる・抜けられる・反対できるか
③法の下にあるか 自分の義を法の上に置いていないか
④代償を誰が払うか 自分だけか、他人が払うか
⑤反証を受け付けるか 「間違っている」と言われて検討できるか

とくに①が効く。他人に向けた瞬間に、多くの徳目は支配の道具になる。

徳目が壊れる形の一覧

徳目 壊れた形
死生観 他人に強いる/目的が死になる/判断の放棄/恐れの否認
義 独善/他人を裁く道具/大義名分/義理との混同
勇 蛮勇/粋がり/恐れの否認/他人への強要/臆病の正当化
仁 甘やかし/温情主義/恩着せ/身内だけの仁/感傷
礼 虚礼/慇懃無礼/他人への要求/内向きの礼/本音を封じる口実
誠 量で壊れる/面子/正直さの暴力/自己欺瞞/誠実さの誇示
名誉 侮辱への過剰反応/体面のための隠蔽/恥を負わせる/恥で動かす/際限のない自責
克己 禁欲の目的化/他人に課す/完璧主義/修養の誇示/身体を壊す
忠義 盲従/忖度/私物化/内向き/黙って残る

原典の出典早見

言葉 出典 章
武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり 『葉隠』聞書第一 第2章
常住死身 『葉隠』聞書第一 第2章
義は勇の相手にて裁断の心なり 新渡戸が引く林子平の言葉 第3章
羞悪の心は義の端なり(四端) 『孟子』公孫丑上 第3章
生を舍てて義を取る(舎生取義) 『孟子』告子上 第3章
義を見て為ざるは勇なきなり 『論語』為政篇 第3章
君子は義に喩り、小人は利に喩る 『論語』里仁篇 第3章
知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は懼れず 『論語』子罕篇 第4章
匹夫の勇 『孟子』梁恵王下 第4章
勇にして礼なければ乱る 『論語』泰伯篇 第4章
殺人刀・活人剣 柳生宗矩『兵法家伝書』 第4章
仁とは人を愛すること 『論語』顔淵篇 第5章
己の欲せざる所、人に施すこと勿れ(恕) 『論語』衛霊公篇 第5章
惻隠の心(井戸に落ちかける子) 『孟子』公孫丑上 第5章
仁者は必ず勇あり 『論語』憲問篇 第5章
己に克ちて礼に復るを仁と為す 『論語』顔淵篇 第6章・第9章
礼に非ざれば視るなかれ(四勿) 『論語』顔淵篇 第6章
誠は天の道なり 『中庸』 第7章
至誠にして動かざる者は未だ之あらざるなり 『孟子』離婁上 第7章・第11章
巧言令色、鮮し仁 『論語』学而篇 第7章
人にして信なくば 『論語』為政篇 第7章
己を行うに恥あり 『論語』子路篇 第8章
君子は必ず其の独りを慎む(慎独) 『大学』『中庸』 第9章
一燈を提げて暗夜を行く 佐藤一斎『言志晩録』 第9章・第14章
少くして学べば、則ち壮にして為すこと有り 佐藤一斎『言志晩録』 第9章
過ぎたるは猶及ばざるが如し 『論語』先進篇 第9章
欺くこと勿れ、而して之を犯せ 『論語』憲問篇 第10章
君、臣を使うに礼を以てし 『論語』八佾篇 第10章
君が臣を手足の如く視れば 『孟子』離婁下 第10章
かくすれば かくなるものと知りながら 吉田松陰(密航に臨んで) 第11章
四時の説 吉田松陰『留魂録』第八章 第11章・第14章
敬天愛人 『南洲翁遺訓』 第12章
人を相手にせず、天を相手にせよ 『南洲翁遺訓』 第12章
命もいらず、名もいらず(始末に困る人) 『南洲翁遺訓』 第12章

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人物早見

人物 生没 何をした人か 章
山鹿素行 江戸前期 武士を民の手本となる指導者と位置づけた「士道」を説いた 第1章
山本常朝 1659-1719 佐賀藩士。談話が『葉隠』になった。殉死を禁じられ隠棲 第1章・第2章
田代陣基 江戸中期 常朝の談話を十数年かけて筆録した 第1章・第2章
沢庵宗彭 江戸前期 『不動智神妙録』。禅と武術を結びつけた 第1章
柳生宗矩 1571-1646 将軍家兵法指南役。『兵法家伝書』 第4章
貝原益軒 1630-1714 『養生訓』。修養に身体の管理を含めた 第9章
佐藤一斎 江戸後期 『言志四録』。西郷隆盛が獄中で抄録した 第9章・第12章
荻生徂徠 1666-1728 赤穂事件で、義を認めつつ法の側から切腹を主張 第1章・第3章
山岡鉄舟 1836-1888 単身で敵陣を抜け、江戸無血開城への道をひらいた 第4章
吉田松陰 1830-1859 至誠を行動の規則とした。松下村塾。処刑 第11章
西郷隆盛 1828-1877 敬天愛人。江戸無血開城。西南戦争で自刃 第12章
新渡戸稲造 1862-1933 1900年に英語で『武士道』を刊行。国際連盟事務次長 第1章・第13章

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四層の読み分け

武士道に関する記述は、必ずこの四つのどれかに属する。混ぜない。

層 中身 例
①原典 文献に実際に書かれている言葉 『葉隠』聞書第一の本文
②解釈 後世が読み込んだ意味 三島由紀夫『葉隠入門』、家康の遺訓
③史実 武士が実際にどう行動したか 札差からの借財、仇討ちの成功率
④利用 その時代が言葉をどう使ったか 明治の国民道徳、戦時の投降禁止

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議論がかみ合わないときは、話している層がずれている。

一枚の紙(第14章の七つの欄)

欄 中身
① やらないこと 三つ(場面が思い浮かぶ言い方で)
② 判定の三問
③ 判定者 三人(「おかしいときは言ってほしい」と頼んである)
④ 一日の型 三つ(朝三分・日中ひとつ・夜一行)
⑤ 退く基準 一行(出来事の形で)
⑥ 諫めるときの一文
⑦ 徳目がぶつかったときの順序

唯一の規則 — 二度続けて休まない。

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